【元トヨタ社員の実体験】高卒でトヨタに入社した僕が辞めた理由

工場勤務ガイド・リアル

どうも、だいです!

僕は高校卒業後、新卒でトヨタ自動車に入社しました。

もともと車が大好きで、昔からトヨタで働くことに憧れていたわけではありません。

当時の中学生の僕は、「就職するなら、できるだけ大きな会社に入りたい」と考えていました。

大学へ進学してから一般企業への就職を目指すより、高校卒業時に大手企業への就職を狙った方が賢いのではないか。

そう考えて進路を決め、工業高校へ進学しました。

高校では成績や資格取得にも力を入れ、最終的にトヨタ自動車から内定をもらうことができました。

しかし、ずっと目標にしていたトヨタに入社できたにもかかわらず、僕は数年で退職しています。

この記事では、

  • なぜトヨタを目指したのか
  • 高校時代に何をしていたのか
  • 高卒でトヨタに入社してどんな部署に配属されたのか
  • 実際に働いて何がきつかったのか
  • なぜせっかく入ったトヨタを辞めたのか

僕自身の実体験をもとに紹介します。


中学生の頃から「就職するなら大企業」と考えていた

僕が将来について考え始めたのは、中学生の頃です。

当時は、「どうせ働くなら、できるだけ大きな会社に入りたい」という考えがありました。

そこで、「日本で一番大きな会社ってどこだろう?」と考えたときに思い浮かんだのが、トヨタ自動車でした。

だからといって、昔から車が大好きだったわけではありません。

僕の場合は、「トヨタに入りたいから、そこから逆算して進路を考えた」という方が近いです。

トヨタへの就職を狙って工業高校へ進学

高校を選ぶときも、トヨタへの就職を意識していました。

僕が選んだのは工業高校の自動車科です。

高校卒業後に大手企業へ就職するために、「高校でできるだけ上位の成績を取って、大手企業への就職を狙おう」

と考えていました。

そのため、授業の成績だけでなく資格取得にもかなり力を入れました。

高校では成績と資格取得に力を入れた

実際、高校時代の成績は体育以外すべて5でした。

体育についても4でしたが、全体の中では高い評価でした。学年で誰も5を貰えないほど何故か厳しかったです笑

学年順位も、

  • 1学期:2位
  • 2学期:2位
  • 3学期:1位

と、上位を維持していました。

ジュニアマイスターゴールドにも認定

高校では授業の成績だけでなく、資格取得にもかなり力を入れていました。

その結果、「ジュニアマイスターゴールド」に認定されました。

ジュニアマイスター顕彰制度は、工業高校生が取得した資格や検定、競技・コンテストなどの実績を点数化し、その合計点に応じて認定される制度です。

ゴールドはその中でも上位の区分で、単に一つの資格に合格すれば取れるものではなく、高校在学中に複数の資格取得などを積み重ねていく必要があります。

僕も高校時代は、

「トヨタに入るために、取れる資格はできるだけ取ろう」

という気持ちで資格取得に取り組んでいました。

その結果としてジュニアマイスターゴールドまで取れたので、当時は勉強だけでなく資格取得についてもかなり頑張っていたと思います。

それでも、実際にトヨタへ入社して金型保全に配属されると、工業学園で専門的な教育や実習を経験してきた人たちとの差を強く感じることになります。

念願だったトヨタ自動車から内定

そして高校卒業後の就職先として、トヨタ自動車から内定をもらうことができました。

中学生の頃から大企業への就職を考え、高校でも成績や資格取得を意識してきました。

そのため、トヨタから内定をもらえたときは、一つの大きな目標を達成した感覚がありました。


トヨタ入社後は金型保全へ配属された

トヨタへ入社後、僕が配属されたのは製造ラインではありませんでした。

配属されたのは金型保全です。

僕がいた職場では設備保全と金型保全があり、僕は樹脂部品などを成形するための金型を保全する仕事を担当しました。

当時、職場では一般の高校卒から金型保全へ配属されたのは約20年ぶりと聞いていました。

周囲にはトヨタ工業学園を経て配属された人ばかりで、自分とはスタート地点がかなり違いました。

金型保全の詳しい仕事内容については、別の記事で詳しく紹介します。


金型保全は想像以上に覚えることが多かった

金型保全に配属されて最初に感じたのが、「覚えることが多すぎる」ということでした。

金型そのものだけを覚えればいいわけではありません。

実際の仕事では、

  • 金型の分解・組み立て
  • グラインダー
  • 溶接
  • ホットランナー
  • 冷却水
  • クレーン
  • 玉掛け
  • 金型の運搬
  • 成形品の取出し設備
  • 品質不良への対応 など、さまざまな知識や技術が必要でした。

当時、上司から、「ライン作業は1ヶ月で覚えられるが、この部署で一人前になるには10年かかる」と言われたことがあります。

実際に働いてみると、その言葉にも納得できるくらい覚えることがありました。

新人の頃は先輩について突発対応やオーバーホールを経験

新人だった僕は、金型や設備にトラブルが起きれば先輩について現場へ行き、作業を手伝っていました。

修理場では金型のオーバーホールにも参加します。

現場から金型を降ろして玉掛けを行い、無線クレーンを使って修理場へ運びます。

そこから内部の水を抜いて金型を分解。

スライドコアなどの部品を取り外し、ホットランナーなどを点検します。

金型内部には赤褐色のカスのような汚れが溜まることもあり、それを取り除いたり、ガスを逃がす部分を調整したりする作業もありました。

金型表面についても、赤い塗料のようなものを使って「当たり」を確認し、その状態を見ながら溶接で肉盛りしたり、グラインダーで削ったりして修正します。

作業が終われば再び組み立て、クレーンで製造設備へ戻します。

その後、実際に製品を作って、問題なく良品ができるか確認します。

大掛かりなオーバーホールでは、6人ほどで作業して約8時間かかることもありました。

しかも金型の部品は一つひとつが重い。体力的にも決して楽な仕事ではありませんでした。


危険を伴う作業も多かった

僕が扱っていた金型には、自動販売機より少し大きいくらいのものもあり、重量は何トンもあります。

金型の中には電気配線や冷却水の経路、細かな部品などが入っていて、構造も複雑です。

仕事では、

  • 重量物
  • クレーン
  • 玉掛け
  • グラインダー
  • 溶接
  • 金型内部での作業
  • 金型を運ぶ車両 などを扱います。

金型の中に入って作業するときには、誤って設備が動かないようにロックをかけるなど、安全ルールもかなり徹底されていました。

それでも危険がなくなるわけではありません。

僕自身、溶接作業で火傷したこともあります。

作業後には、つなぎがかなり汚れることもありました。


新人は仕事を覚えながら雑務もしていた

もちろん、入社してすぐに一人で金型を修理できるわけではありません。

突発対応では先輩についていき、作業を見たり手伝ったりしながら仕事を覚えていきました。

修理場ではオーバーホールに参加しながら、溶接やグラインダーの練習もします。

それ以外にも新人の頃は、使い終わった作業用手袋を捨てたり、みんなのつなぎを洗ったりといった仕事もしていました。

また、金型の修理後などに試し打ちした樹脂製品は、職場で「クラッシャー」と呼んでいた機械で細かく砕き、再利用できるようにしていました。

巻き込まれを防ぐため、クラッシャーを扱う際にも細かい安全ルールが決められていたのを覚えています。

こうした仕事をしながら、少しずつ保全の知識や技術を覚えていきました。


3交替に加えて休日出勤もきつかった

仕事内容だけではなく、働き方も自分にはかなりきつかったです。

僕の職場は3交替で回っていました。

平日はそれほど残業が多いという感覚ではありませんでしたが、その代わり土曜日に出勤することがありました。

さらにゴールデンウィーク・夏季休暇・年末年始なども、保全は設備を整備するために連休の最初や最後に出勤することがあります。

製造ラインで働いている人より、連休が2日ほど短くなることもありました。

当時は、「残業代を稼ぐために休日を使っている」ような感覚もありました。

周りの同期が土日に休んでいる中、自分は休日にも仕事へ行く。

仕事自体にも苦戦していたので、休みの日になかなか気持ちを切り替えられなかったこともあり、精神的にもかなりきつかったです。


ラインに入る日の方がむしろ嬉しかった

金型や設備のトラブルで生産が止まると、その遅れを取り戻すために保全の人間が製造ラインに入ることもありました。

僕の職場では、通常のライン作業者がいない深夜帯などに、新人を中心にラインへ入って生産することがありました。

普通に考えればライン作業も大変です。

でも当時の僕は、「今日はラインに入れる」と思うと、むしろ嬉しかったです。

金型保全よりもライン作業をしている方が時間が過ぎるのが早く感じました。

当時は、「これで半日使える」くらいに思っていました。

今振り返ると、それくらい自分にとって金型保全の仕事がきつかったんだと思います。


周囲はトヨタ工業学園出身者ばかりだった

僕が配属された金型保全には、トヨタ工業学園を経て配属された人ばかりでした。

僕は普通の工業高校からトヨタに入社しましたが、周囲の学園出身者は少し事情が違います。

当時僕が働いていた職場では、工業学園の高等部を卒業した人が金型保全、専門部を卒業した人が設備保全へ配属されていました。

僕が特に差を感じたのは、同じ新人でも、仕事を始めるまでに積んできた経験が全然違ったことです。

学園出身者は、トヨタで働くことを前提とした環境で専門的な教育を受け、職場での実習も経験してから配属されてきます。

一方の僕は、普通の工業高校の自動車科を卒業してトヨタに入社しただけです。

高校では成績や資格取得にはかなり力を入れていましたが、金型保全の仕事をするための教育を受けてきたわけではありません。

そのため、同じ「新人」でもスタート地点が違う感覚がありました。

実際、僕が入社して約1年後に後輩が入ってきたとき、それを強く感じました。

その後輩は工業学園の高等部を卒業して配属されてきたのですが、学園で3年間学び、職場での実習も経験していました。

僕はすでに現場で1年ほど働いている。

それなのに、「俺より後に入ってきた後輩の方が、すでにできることが多い」と感じる場面がありました。

これは当時の僕にはかなりきつかったです。もちろん、その後輩が悪いわけではありません。

むしろ、それだけ学園で積んできた教育や実習の差が大きかったんだと思います。

当時、職場では僕について、

「一般の高校卒から金型保全に配属されたのは約20年ぶり」と聞いていました。

高校では上位の成績を取り、資格取得も頑張ってトヨタに入社しました。

それでも金型保全に入ってみると、周囲には最初から専門的な教育を受けてきた人たちがいる。

高校時代に勉強を頑張ったことと、金型保全の現場で仕事ができることは全く別でした。

さらに、職場には自分より1〜2歳上くらいの先輩が少なく、10歳ほど年上の先輩も多かったため、気軽に相談できる相手もなかなかいませんでした。

仕事についていくだけでも必死だった僕にとって、こうした環境も精神的にきつかった理由の一つです。


仕事は頑張っていた。それでも辞めることにした

僕は最初からトヨタを辞めるつもりで入社したわけではありません。

中学生の頃から大企業への就職を考え、そのために工業高校へ進学。

高校では成績や資格取得を頑張り、ようやく入ることができた会社です。

入社後も仕事を覚えようとしていました。

職場では改善提案活動にも参加し、入社した年度には「創意くふう提案活動」のルーキー賞もいただきました。

「せっかくトヨタに入ったんだから」という気持ちもありました。

それでも、金型保全という仕事の難しさ、周囲との経験差、勤務環境などが重なり、精神的にもかなりきつくなっていきました。

そして最終的に、「この仕事をこのまま続けていくのは自分には厳しい」と考え、トヨタを退職しました。


トヨタを辞めたことに後悔はしていない

トヨタを辞めたことについて後悔しているかと聞かれれば、あまり後悔していません。

もちろん、トヨタ自動車は待遇や福利厚生などを考えても、とても恵まれた会社だったと思います。まだ在籍していたらどうなっていたかなと思うこともあります。

僕自身、トヨタに入社したことを後悔しているわけでもありません。

ただ、当時の僕には配属された仕事や職場環境が合いませんでした。

トヨタを辞めたあと、僕は派遣として日産車体九州・クボタ・日野自動車など、複数の工場で働いてきました。

外に出ていろいろな工場や働き方を経験したからこそ、

「工場で働くなら、自分に合った働き方や工場を選ぶことが本当に大切」だと気づきました。

会社の規模や待遇だけでは分からないことがあります。

同じ工場勤務でも、会社・雇用形態・配属工程などが変われば、仕事内容や働きやすさも大きく変わります。


僕がこのブログで工場のリアルを発信している理由

僕は中学生の頃から目標にしていたトヨタに入りました。

それでも、実際に配属された仕事や環境が自分に合わず、かなり苦しみました。

どれだけ待遇のいい会社でも、自分に合う仕事とは限りません。

だからこそ、これから工場で働こうとしている人には、できるだけ僕と同じようなミスマッチで苦しんでほしくないと思っています。

「期間工と派遣ならどっちがいいのか」

「どのメーカーを選べばいいのか」

「工場勤務って実際どれくらいきついのか」

「求人票だけでは分からない部分はどうなのか」

こうした疑問に対して、求人情報だけではなく、実際に工場で働いてきた人間の目線から伝えるために、このブログを運営しています。

工場選びや期間工・派遣について迷っている方は、LINEでも相談を受けています。

僕自身の経験で答えられる範囲にはなりますが、

「どの働き方が自分に合っているのか分からない」という方は、気軽に相談してください。


まとめ|大手だから自分に合うとは限らない

僕は中学生の頃から大企業への就職を考え、工業高校へ進学しました。

高校では成績や資格取得に力を入れ、ジュニアマイスターゴールドにも認定。

そして高校卒業後、目標だったトヨタ自動車へ入社しました。

しかし、実際に金型保全として働いてみると、仕事内容や職場環境が自分には合わず、最終的には退職しました。

トヨタを辞めたことに後悔はありません。

むしろ、その後いろいろな工場で働いたことで、

「会社の名前だけではなく、自分に合った働き方や職場を選ぶことが大切」

だと気づくことができました。

工場の仕事は、会社や雇用形態、配属される工程によって大きく変わります。

このブログでは、僕自身の経験も交えながら、期間工・工場派遣・工場勤務についてできるだけリアルな情報を発信していきます。